時として認めたくないけど、私は君に恋している。君がやってのけた分かりやすい駆け引き。初めはバカにしてた。年上の友人達の、「そんなの遊びに決まってる。騙されるだけ。向こうはあなたより若いんだから、真剣なわけないでしょ!」を反芻しながら君とのやり取りを思い返す。一度も言葉を交わしたことはないけれど。

結構な時間が過ぎたのに、君の事が頭から離れない。機能脳的に表現すると、私の海馬には君が憧れの君として書き込まれたわけだ。元の偶像の座を奪って。

この間、君を見かけた気がする。定かではないが、想定内的時間と場所ではある。近くで出会ったら、また微笑みかけてくれるのだろうか? そうしてくれたら、今度こそキチンと見つめ返せそうな気がする。今度こそ。

人生の転換期の1ページに君が現れて以来、私はジェットコースターで旅をしている。諌める友人、応援する友人、感謝してます。少なくとも話を聞いてくれたこと自体、自分にはありがたい。この恋の物語は始まっていない。同時に終わってもいない。彼のことはほぼ何も知らないけど、このまま忘れ去れる予感は一切しない。こんな気持ちはかつて経験ないけど、どんなに探しても逃げ場所は何処にもない。

欲しいものを素直に欲しいと思えなくなるよりは、手に入れようと試行錯誤を繰る返し、端から馬鹿にされても耐えて生きた方が自分には楽だ。仕事も恋も理想なんて無理とだけ思うようになったら、それこそが終わりだ。